日本銀行と欧州中央銀行(ECB)は9月6日、分散型台帳技術(DLT)に関する共同プロジェクトの調査結果を公表した。
このプロジェクトは、日銀ネット等の金融市場インフラに、分散型台帳技術(DLT)を適用できるか調査するために、昨年12月に立ち上げられたもの。
プロジェクトでは、即時グロス決済システム(RTGS)である、日銀の日銀ネットとECBのTARGET2を、ブロックチェーン・DLT基盤である「Hyperledger Fabric」を用いて再現。各種の実験を行った。
実験の結果、現行のRTGSシステムとほぼ同等のパフォーマンスを得ることができたほか、平時およびピーク時と同等のトラフィック量の取引指図について、遅延なく処理を行うことができたという。
また、検証ノードにおける障害や、誤ったフォーマットで記載された取引指図といった課題にも対処でき、システム全体の可用性(アベイラビリティ)には殆ど影響が生じなかったとしている。
一方で、単一の認証局が存在しており、DLTによって得られるメリットを減殺するような単一障害点となり得るなどのデメリットも確認した。
調査の結論としては、将来に向けて有益な結果が得られたものの、現時点では、DLTは技術として十分成熟しておらず、日銀ネットやTARGET2 のような大規模なシステムへの応用には適さないとしている。
今後、課題の解決に向けた取組みに期待したい。