富士通とイオンフィナンシャルサービス(AFS)は7月14日、富士通のパーソナルデータストア「K5 Personium Service」を利用して、情報銀行の実証実験を開始すると発表した。
情報銀行とは、年齢や住所などの個人情報を含むデータ(パーソナルデータ)に関して、所有者自身の意向も踏まえて、第三者に提供する仕組み。政府のIT総合戦略本部が中心となって検討を進めている。
今回の実証実験では、富士通が情報銀行の運営主体となり、同社の従業員を対象に今年8月から約2カ月間、パーソナルデータの収集や分析を行うオリコムなど9社と協力して実施する。
具体的には、パーソナルデータ提供者は、年齢や居住地、家族構成といった属性情報のほか、趣味や嗜好、日々の気分や体調といったパーソナルデータを自らの意思で情報銀行に預託。
預託した情報の内容や量、承諾した開示先企業に応じ、その対価としてブロックチェーンで管理された企業内仮想コイン「FUJITSUコイン」が付与される。付与された仮想コインは、富士通の本社事務所の近隣店舗で使えるクーポンへの交換ができるという。
パーソナルデータ利用企業側は、入手データに基づいて一人ひとりの趣味、嗜好、行動パターンに合わせた情報分析やサービス提供を行う。
富士通は、パーソナルデータの取り扱いにおけるデータ管理方法や仮想通貨などによる個人への還元方法などを検証する。また、イオンフィナンシャルサービスは、パーソナルデータを活用する事業者側として、手順や運用、利用者の趣向に合わせた金融商品・サービスなどのタイムリーな情報提供の方法を検証する。
今回の実証実験は、ブロックチェーンを用いたコインと情報銀行を組み合わせたチャレンジングな試み。実証実験の成否に注目したい。