金融情報システムセンター(FISC)は6月21日、昨年10月から開催してきた「金融機関における FinTechに関する有識者検討会」の報告書を公表した。
この検討会は昨年10月、金融機関のFinTechに関する安全対策のあり方について、明確な指針を示すために立ち上げられた。
検討会では、学識経験者や金融機関、ITベンダー等の委員と金融庁等のオブザーバーが参加して、金融機関が安全性を確保しつつも、イノベーションの成果を最大限享受することを目指して議論が行われてきた。
報告書では、FinTechで目標とされるべき安全対策の基準は従来のサービスと同等にすべきという「同等性の原則」が示される一方で、FinTech企業の能力が未成熟である場合、金融機関がFinTech側の安全対策を補完することを可能とするルールも示されている。
また、リスクベースアプローチにしたがって、安全対策基準が適用されるべき金融サービス領域が明確に示された。これまで必ずしも高い安全性を求められない社内システムについても、安対基準を適用する事例が見られたことを受けての措置。
なお、金融機関以外のFinTech企業に対しても、安対基準に準じた対策を考慮するように「意見表明」がなされている。これは、FISCの安対基準が金融機関を対象とした自主ルールであるため、対象外となるFinTech企業との同等性を考慮した対応となっている。
FISCでは、今回の報告書のほか、既に終了している「外部委託に関する有識者検討会」の報告書も踏まえて、来年3月までに安対基準の抜本的な改訂を完了させたい考えだ。
今後、安対基準の改訂を受けて、各金融機関においても対応が必要になりそうだ。