証券取引等監視委員会は6月2日、金融庁に対して、クラウドファンディング事業の日本クラウド証券を行政処分するよう勧告した。
日本クラウド証券を検査した結果、顧客への説明と異なる手法で融資を行っているなどの複数の問題が判明したという。
例えば、同社は不動産取得の特別目的会社(SPC)に「メザニン」という手法で6億円を融資すると事前に説明していたものの、実際は別の事業会社を通じて約1億8千万円が出資金として扱われていた。
また、不動産プロジェクトが継続困難になった場合の説明として、別の第三者の出資金により毀損しないと説明していたものの、実際は上記の金額を除くと、出資金に相当するものは55万円しか存在しておらず、投資家を誤認させる内容になっていた。
さらに、「手数料還元お客様キャンペーン」などの広告を掲載していたものの、これまで顧客に対して手数料等の還元を一切行っていなかったという。
これらの検査結果が事実であるならば、日本クラウド証券の業務運営状況は杜撰なものだったと言える。クラウドファンディング事業については、今年3月に「みんなのクレジット」が同じく証券取引等監視委員会から行政処分勧告を受けたばかり。
日本においてもクラウドファンディング事業が広がりを見せつつある中で、投資家などの信頼を損ねてしまう事例が相次いだことが残念でならない。