日立製作所は5月23日、来年度から提供予定の新メインフレームにおいて、IBMのハードウェア基盤を採用すると発表した。メインフレームのハードウェア開発から事実上撤退することになる。
今回日立は新メインフレームの開発にあたり、日本IBMとの間でハードウェア開発の効率化を目的とした協業で合意。具体的には、IBMメインフレームをベースとした日立仕様のメインフレームを開発する。
IBMメインフレーム上に、日立メインフレームの専用OSであるVOS3やミドルウェアを移植することにより、VOS3を基盤とする日立仕様のメインフレーム環境を顧客に継続的に提供する。
日立のメインフレームユーザーは、既存データやソフトウェア資産を継承しながら、IBMのメインフレームが持つ最新技術を活用できるようになる。
日立は、50年以上にわたり、さまざまな企業・団体の基幹システム向けにメインフレームを納入してきたが、近年では、IoTプラットフォーム「Lumada」などを活用したデジタルソリューションに力を入れるなど、事業再編を加速させている。
メインフレームのハードウェア事業についても、事業再編の対象になった形だ。
日立のメインフレームについては、地域金融機関の複数の共同センターで採用されているなど、金融分野でも多く使用されている。VOS3やミドルウェアが継続的に提供されるものの、より中長期的な動きについては影響が出てくる可能性がある。