金融庁は3月10日、英国の金融当局である金融行為規制機構(FCA)と、FinTech企業を支援するために協力することに合意したと発表した。
今回の合意により、お互いの国への進出を希望するFinTech企業を、金融当局が相互に紹介する枠組みを提供する。
紹介を受けた当局は、規制によるビジネスの不確実性や、市場への参入に要する時間を減少させるなどの支援を行うという。
また加えて今回の合意では、両当局がそれぞれの市場における金融サービスのイノベーションに関する情報共有を促進し、参入障壁を緩和することにも合意している。
FinTechに関する各国の金融当局間の連携については、昨年、シンガポールとイギリスの間で、FinTechブリッジと呼ぶ協力関係が構築されて以降、様々な国家間で協力の枠組みが構築されている。今回の両国の合意もこの流れに沿ったものになる。
以下に、金融庁のニュースリリースを引用する。
日本と英国の金融規制当局が、革新的なFinTech企業を支援するための協力枠組みに関する書簡交換を発表
金融庁
2017/3/9
日本の金融庁と英国の金融行為規制機構(FCA)は、革新的なFinTech企業を支援するための協力枠組みに関する書簡を交換しました。金融庁とFCA間の本書簡交換を通じて、相手国の市場への進出を希望する、日本と英国の革新的企業を紹介する枠組みを提供します。紹介を受けた当局は、規制の不確実性と市場への参入に要する時間を減少させることにより、紹介を受けた革新的企業を支援します。加えて、本書簡交換は、両当局がそれぞれの市場における金融サービスのイノベーションに関する情報共有を促進し、新たな市場への参入障壁を緩和し、両国におけるイノベーションをさらに促進します。
日本にとって、本書簡交換は日本のスタートアップ企業の革新的なビジネスのグローバルな展開を後押しします。また、本書簡交換は英国企業を日本の市場に惹きつけ、日本経済の活性化に貢献します。
英国においては、FCAは規制当局者として金融サービス市場を円滑に機能させることを重要な法目的と位置づけており、イノベーションを通じた競争促進は、この目的の重大な要素となっています。本書簡交換は、日本市場への進出を望む英国企業に貴重な知見をもたらし、FCA所管の市場への参入に関心を持つ英国外のイノベーターを支援することとなるでしょう。
金融庁の白川俊介審議官(国際担当)は次のように述べました:「FCAと本協力枠組みを構築することができ、大変うれしく思います。これは、我が国にとって、他国とFinTech推進のための協力枠組みを構築した初めてのケースです。英国は、66億ポンドの歳入を産み出すFinTech産業を有する世界的なFinTech先進国の一つです。本書簡交換により金融庁とFCAの関係が更に深まり、両国の市場におけるイノベーションが促進されると信じています。」
FCAのクリストファー・ウーラード戦略競争部門担当理事(Executive Director)は次のように述べました:「我々は、イノベーションの促進にコミットしています。イノベーションが英国において金融サービス利用者の利益につながる可能性があるからです。本日の金融庁との書簡交換は、興味深い新たな事業や商品を有する企業にとって、日本と英国への参入障壁を緩和する助けとなることでしょう。」。
(以下、省略)