金融庁は9月15日、昨事務年度(27年7月から28年6月)における金融行政の進捗状況や実績をとりまとめた「金融レポート」を公表した。
このレポートは、昨年まで「金融モニタリングレポート」として公表していたもの。昨年9月に金融庁が公開した「金融行政方針」において、同庁が目指す中長期的な方針を明らかにしており、その進捗状況等を評価にするために今年から名称を変更して公開された。
ITシステムに関連する箇所では、「T技術の進展への戦略的な対応」として、「FinTechへの対応」、「サイバーセキュリティの強化」、「アルゴリズム取引等への対応」の3つが取り上げられている。
FinTechへの対応については、FinTechの動きを利用者利便や生産性の向上など、日本経済の発展につなげていくことが求められるとし、具体的には法整備の実施、有識者会議の設置、サポートデスクの設置を行ったとしている。
特に今回、FinTechサポートデスクの利用状況を初めて公開している。平均で月13件程度の問い合わせが寄せられており、法令解釈に関する具体的な相談が8割弱を占めているという。企業にとって金融規制の理解が事業開始のハードルになっていることが窺える。
また、サイバーセキュリティの強化については、リスクベース・アプローチに基づく対策を行う良好事例が認められる一方で、リスク評価やログ分析、コンチプランが未整備といった金融機関も少なからず認められるという。
レポートでは、経営陣が自ら陣頭指揮をとって、経営資源を適切に投下できる態勢の整備を求めている。
さらに、アルゴリズム取引等への対応については、欧米における規制等の動向も踏まえながら、金融審議会において対応について検討していくという。