リクルートテクノロジーズは4月25日、ドイツのブロックチェーン企業ascribe GmbHと共同でブロックチェーン技術を活用した検証プロジェクトを開始したと発表しました。
今回の検証するサービスは、転職活動者、企業採用担当者の利用を想定した履歴書公証データベース。卒業証明書や、前職の所属証明書・SPIの結果などの公的証明書をブロックチェーンのデータベースに保存することにより、転職活動者や採用企業の収集・授受・保管コストの削減を図ります。
ascribeは、ブロックチェーン技術を実際に開発・公開するFinTech企業で、ブロックチェーン技術を用いた公開データベースを構築するためのインフラを提供しています。既にアート作品の著作権や利用権管理を行えるサービスを開発・提供しています。
今回の共同検証は、リクルートテクノロジーズの研究開発機関アドバンステクノロジーラボ(ATL)が取り組む、グローバルなトップスタートアップ企業との共同R&D推進プロジェクトTTP(TelAviv-Tokyo-Project)の一環で実施されます。
これまで日本におけるブロックチェーン技術の実証実験は主に金融関連サービスを対象としたものがほとんどでしたが、金融以外にも同様の動きが広がっていくか注目です。
以下に、リクルートテクノロジーズのニュースリリースを引用します。
ブロックチェーン技術のビジネス活用を視野に検証を開始
~仮想シナリオの第一弾は転職活動シーン。独スタートアップと共同開発~
リクルートテクノロジーズ
2016年4月22日
株式会社リクルートテクノロジーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘、以下:リクルートテクノロジーズ)は4月25日、ascribe GmbH(本社:ドイツ・ベルリン、CEO:Bruce Pon、以下:ascribe)と技術協力し、ブロックチェーン※1技術を活用した共同検証プロジェクトを開始したことを発表します。
金融業界での活用に注目が集まるブロックチェーン技術を、将来的にはリクルートの持つ多様なビジネス領域に応用できるよう、実利用シーンを見据えたサービス開発の可能性を探ることを目的としています。
※1データを世界中に分散させ、ネットワークの参加者が共有・管理する仕組みです。元々は仮想通貨の取引のために考案されましたが、特定の人によるハッキングを防止しやすい点や、データが破損しても復元できる利点などが注目され、金融業界を初めとする、幅広い分野で注目を集めています。
① 実際の活用シーンをイメージ。ブロックチェーン技術を「履歴書公証データベース」のプロトタイプ開発を通じて検証
リクルートテクノロジーズでは、ブロックチェーン技術をどのように活用できるか、実践的に検証することを狙います。検証用の活用シーンとして、転職活動者と企業の採用担当者における利用を想定。次世代ブロックチェーンデータベースを開発・公開するなど、業界をリードする一社であるascribeと連携し、履歴書公証データベース※2のプロトタイプ開発を開始しました(データは全てテスト用に架空のものを用意しています)。※3
現在、転職活動者は、転職希望先の企業に、卒業証明書や過去に在籍した企業の所属証明書など様々な公的証明書を提出する必要があります。履歴書公証データベースが実現すれば、今まで紙を用いることが一般的だった契約や公的証明書の確認を、ブロックチェーンのデータベースを通じて実施可能になります。その結果、転職活動者が複数の公的証明書を収集する労力が軽減される他、採用する企業にとっても、詐称の心配なくより安全に、機密文書である公的証明書を取り扱えるようになることが期待されます。
※2転職活動に必要な契約や、公的証明書の管理・提供をブロックチェーン上で実施できるようにするための仕組みです。
※3ascribeが開発するブロックチェーンの基礎技術を活用し、リクルートテクノロジーズが、実ビジネスを想定したアプリケーション開発を行います。
▼ブロックチェーン技術を転職活動に活用した場合、以下のような効果が期待されます。
・転職活動者が、書類ごとに開示する時間や範囲を限定し、許可を出すと、転職希望先の担当者が内容及びその書類が正規に発行されたものかを確認できます。
・転職活動者の各情報は、運営企業(例えばリクルートグループ)を含め、本人の許可なく閲覧されないことが保証され、また、特定企業一社による専有の弊害(サービス停止など)を受けづらくなります。
今回の共同検証は、リクルートテクノロジーズの研究開発機関アドバンスドテクノロジーラボ(以下ATL)が取り組む、グローバルなトップスタートアップ企業との共働R&D推進プロジェクトBTP(Berlin-Tokyo Project:http://atl.recruit-tech.co.jp/telaviv_tokyo/)及びTTP(TelAviv-Tokyo Project:http://atl.recruit-tech.co.jp/telaviv_tokyo/)の中で実施されています。同プロジェクトは、若手エンジニアの能力開発も視野に入れながら、スタートアップ企業と協働し、新技術の購買のみならず、その開発・発展のサポートなどを通して相乗効果を図ることを目的としています。
②ATLとドイツのスタートアップ企業ascribe共同検証の背景
これまでに計4社とプロジェクトを実施し、Hadoop※4のエンタープライズ版製品であるMapRの日本初採用などを実現してきました。同プロジェクトは、ドイツ・ベルリン及びイスラエルではハイファ、テルアビブを中心に展開しています。
※4データを複数のサーバに分散し、並行して処理するミドルウェア(ソフトウェア基盤)です。
(以下、省略)
(参照)リクルートテクノロジーズのニュースリリース
http://recruit-tech.co.jp/news/images/20160425_PressRelease.pdf