アメリカの大手投資銀行モルガンスタンレーは4月22日、ブロックチェーンに関するレポートを公開しました。
このレポートでは、ブロックチェーン技術がもたらす、スピード、コスト、安定性などのメリットやその潜在力について述べる一方で、やや期待が先行している現状に警鐘を鳴らしています。
具体的には、ブロックチェーンが普及期に至るまでに乗り越えるべきハードル(障害物)として、以下の10項目を挙げています。
- ①新プラットフォームのコスト優位性(既存システムと比較して)
- ②構築・移行コストの分担(シェア)
- ③各ステークホルダーの利害関係・インセンティブの調整
- ④健全な標準化
- ⑤スケーラビリティ(拡張可能性)の維持・管理
- ⑥ガバナンス
- ⑦レギュレーション(規制)
- ⑧リーガルリスク(特にAML/KYC)
- ⑨暗号化/セキュリティ
- ⑩シンプルさ
そのほか、レポートではブロックチェーン技術が広く一般的に適用されるようになるには、少なくとも5年から10年かかると見積もっています。2016年から2018年がPoC(実証実験)の段階、2017年から2020年が一部の資産について共用インフラサービスが出現する段階、2021年から2025年が本格的に普及する段階と位置付けており、少なくともここ1~2年では具体的なサービス化の段階には辿り着かないと予想しています。
このレポートの内容が悲観的と見るか、現実的な内容と見るかは見方が分かれるところですが、レポート内で提示された10項目の障害については、いずれも解決しなければならない課題で間違いないと思います。現在、日本あるいは世界各地でブロックチェーンの実証実験が相次いで実施されていますが、今回提示された障害を乗り越えて、なるべく早期に実用的なサービスが出現することに期待したいと思います。