NTTデータは4月26日、岩手銀行、福井銀行、京都銀行の3行に、コミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」を順次設置し実証実験を行うと発表しました。
「Sota」はヴイストン社が開発する、日本の家庭環境に合わせたテーブルトップサイズのコミュニケ―ションロボット。カメラ・マイク・スピーカを搭載し基本的なコミュニケーションを行うほか、ネットワークを利用した遠隔操作や外部機器との連携が可能です。
本実証実験では、クラウドのロボティクス基盤を活用したコミュニケーションロボットによる顧客対応支援を目的としており、Sotaが店頭で顧客と対話し、各地域の特性や特色を把握するための対話情報の収集を行います。NTTデータは、本実証実験で得た対話情報および、行員の助言をもとに、Sotaの会話シナリオの向上や顧客対応業務の効率化、収集した対話情報のマーケティング活用等、利便性向上に向けた活用シーンの具体化を行い、2016年度中の商用化を目指しています。
NTTデータでは既に2015年11月より「りそな銀行豊洲支店」においてSotaによる「顧客対応支援の共同実証実験」を実施し、コミュニケーションロボットの金融機関での実用性の検証を行ってきました。このたび、地域金融機関におけるコミュニケーションロボットの活用を推進するため、3行の協力のもと、実証実験を行うとのことです。
ロボットを活用した営業店窓口における顧客対応支援としては、三菱東京UFJ銀行のNAO導入やみずほ銀行のPepper導入が知られているほか、地方銀行においてもPepper導入が相次いでいます。さらに今年に入ってPepperとIBMのWatsonを連携させる取り組みも発表されており、ロボットと人工知能を接続する試みが広がってきています。今回の実証実験も、この流れに沿ったものと考えられます。
今後、ロボットと人工知能(あるいはクラウド型学習システム)の融合が、実用的な製品・サービスを生み出すことができるのか注目です。
以下に、NTTデータのニュースリリースを引用します。
岩手銀行、福井銀行、京都銀行でコミュニケーションロボット「Sota」の実証実験開始
~クラウドロボティクス基盤を活用したコミュニケーションロボットの利用を推進~
NTTデータ
2016年4月26日
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、株式会社岩手銀行、株式会社福井銀行、株式会社京都銀行(銀行コード順、敬称略、以下:3行)に、コミュニケーションロボット「Sota?(ソータ)」を4月28日より順次設置し、実証実験を行います。
本実証実験は、クラウドロボティクス基盤注1を活用したコミュニケーションロボットによる顧客対応支援を目的としたもので、地域金融機関でのSotaの設置は初めてとなります。
本実証実験では、Sotaが店頭で顧客と対話し、各地域の特性や特色を把握するための対話情報の収集を行います。NTTデータは、本実証実験で得た対話情報および、行員の助言をもとに、Sotaの会話シナリオの向上や顧客対応業務の効率化、収集した対話情報のマーケティング活用等、利便性向上に向けた活用シーンの具体化を行い、2016年度中の商用化を目指します。
今後、NTTデータは、Sotaをはじめとしたクラウドロボティクス基盤によるコミュニケーションロボットの活用を推進するとともに、今後も金融機関におけるさまざまなニーズに迅速に対応し、金融機関のビジネスを支援していきます。
背景
近年、人工知能やロボティクス技術の発展が目覚ましく、さまざまな分野での活用が検討されています。NTTデータでは、2015年7月より、日本電信電話株式会社(以下:NTT)および、ヴイストン株式会社(以下:ヴイストン)の3社で「センサーとロボットを連携させた「人の可能性を広げる」新たなサービスの実現に向けた共同実験」を行い、公共施設や介護分野における有効性や、課題抽出等の実用化に向けた検証を行いました。
また、NTTデータでは、コミュニケーションロボットの活用シーンとして大きく期待される金融機関での顧客対応業務に着目し、金融機関でのコミュニケーションロボット活用のファーストステップとして、2015年11月より「りそな銀行豊洲支店(セブンデイズプラザとよす)」においてSotaによる「顧客対応支援の共同実証実験」を実施し、コミュニケーションロボットの金融機関での実用性の検証を行ってきました。
そして、このたび、地域金融機関におけるコミュニケーションロボットの活用を推進するため、各地域の特性や特色を把握することを目的に、3行の協力のもと、実証実験を行うこととしました。
概要
本実証実験では、3行の店舗ロビーや窓口カウンター等の顧客対応エリアにSotaを設置し、銀行に来店した顧客に対し、住宅ローンや教育ローン等の簡単な商品紹介などの対話を行います。NTTデータは、各行におけるSotaの顧客対応を通じ、地域の特性や特色を把握するための対話情報を収集します。本実証実験にてSotaが認識した情報、あるいは認識できなかった情報を分析することで、今後の対話精度の向上や、活用シーン具体化に向けて参考とします。
3行では、実店舗でSotaによる顧客対応支援を運用することで、その有効性を体感することができます。また、NTTデータは、3行の実体験に基づくフィードバックを受けることで、さらなる活用シーンの検討を進めます。
設置開始について
2016年4月28日(木)、福井駅前にグランドオープンする商業施設内の福井銀行「WiL(Woman’s inspiration Library)」注2を皮切りに順次設置し、2016年8月31日(水)まで実証実験を行います。なお、3行の設置開始日と店舗は以下のとおりです。(銀行コード順、敬称略)
今後について
NTTデータでは、本実証実験にて地域金融機関における顧客対応支援での情報収集・分析およびコミュニケーションロボットの有効性の検証を行い、2016年度中の商用化を目指します。
顧客対応支援以外の活用方法として、ATM、番号受付機、営業店タブレット端末等との連携による業務効率化など、ロボットとさまざまな機器を連携した新たなクラウド型サービスの創出、対話情報のマーケティング活用も検討します。また、各地域を訪れる外国人観光客へ対応するための対話の多言語化など機能の高度化を行うことで、日本の「観光立国」実現へ貢献することを目指します。
今後もNTTデータでは、クラウドロボティクス基盤を機軸にさまざまな業種業態に対する幅広いロボットやセンサー・業務デバイス連動のさらなる検討を進めていきます。
(以下、省略)