仮想通貨・ブロックチェーン関連サービスを提供するテックビューロは、銀行の勘定系業務にブロックチェーン技術を適用する検証実験に成功したことを明らかにしました。この検証実験は同社のブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin」を用いて、住信SBIネット銀行とNRI、DragonflyFintech社と共同で実施されました。
今回の実験では、AmazonのクラウドサービスAWS上に6ノードのブロックチェーンネットワークを構築した上で、250万口座を想定した送金試験を行うなど、処理能力や可用性、対攻撃性などの実験を3ヶ月にわたって実施。これらの試験の結果、住信SBIネット銀行の現行勘定系システムでのピーク時相当となる、1時間あたり9万件(1日216万件)のトランザクションを処理できることが確認されました。
なお、テックビューロは別環境では既に秒間4桁件(1時間あたり数百万件)のトランザクション試験に成功しているとしています。
ここ数ヶ月の間に、世界の大手金融機関やFinTech企業などがブロックチェーンに関する様々な実証実験や一部実用化を行っていますが、低トランザクションの取引や、証券のポストトレード分野を想定したものが大半でした。
ブロックチェーン技術が注目を集め始めた昨年以降、銀行勘定系システムへの適用については、そのコスト削減可能性の大きさから注目を集めてきましたが、高トランザクションへの対応可否や取引のファイナリティへの疑義などから、実際の実証実験まで至った事例は他に無いと思われます。
今回の実証実験は、銀行が参加した上で実際の銀行勘定系業務をシミュレートできたという点では注目に値すべき結果です。ただし、実際に銀行勘定系システムに適用するには、その周辺業務との接続性や既存アプリケーションの書換えなど、まだ乗り越えるべき課題も多いと想定されます。今後、実用化まで漕ぎ着けることができるか引き続き注目です。
以下に、テックビューロのニュースリリースを引用します。
弊社ブロックチェーンプラットフォーム『mijin』が銀行の勘定系業務に適用できることが実証されました
テックビューロ
2016年4月14日
本日、日経FinTech誌に掲載されました記事「住信SBIネット銀行のブロックチェーン検証、 勘定系業務での適用に成功」におきまして、弊社ブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin」が銀行の勘定系業務に適用できることが実証されたと報じられました。
同プロジェクトは、日本初の銀行による本格的なブロックチェーン実証実験として2015年12月15日に住信SBI銀行によって発表され、NRI並びに弊社のパートナーであるDragonfly Fintech社によって実施されたものです。
今回の実験では、AmazonのクラウドAWS上に6ノードによるブロックチェーンネットワークを形成し、実に250万口座による送金シミュレーションを継続したまま、あらゆる実験を3ヶ月にわたって実施したものです。
それら数々の多様な実験において、対攻撃性や対改ざん性、可用性を含むあらゆる実証実験において、「mijin」が銀行の勘定業務に適用が可能であり、実験の範囲内ではゼロダウンタイムの環境が構築できることが実証されましたことをここに報告させていただきます。
また、同記事には「現行勘定系システムでのピーク時相当となる、1時間あたり9万件のトランザクションを処理する際にも問題なく稼働」とあります。この1日216万トランザクションは、あくまでも現行の銀行システムをシミュレートしたものであり、我々のmijinは同時期に提供されていたバージョンにおいて、地理的に分散された環境で既に秒間4桁のトランザクションを問題なく捌く能力を有しておりましたので、その旨をここに再掲させていただきます。
現在、既にmijinの新バージョンのテストが始まりパフォーマンスは更に向上しております。
一部の理解のない方々から、「mijinがnemのクローンである」、「mijinがテックビューロの製品でない」という事実と異なる発言がされておりますが、mijinのコアはnemのコアデベロッパーである3人が弊社において再構築した弊社独自のプラットフォームであり、その見解が間違いである事を改めてここに訂正させていただきます。
今後もnemのコアデベロッパーである3人はテックビューロのmijin開発チームとしてその開発に尽力し、一方テックビューロはmijinへのサポートも積極的に行っていく予定です。そのため、誤解の原因ともなっておりますが、mijinでは「nemと共通した仕様によるAPI」も継続して提供していく予定でございます。
今後ともmijinを何卒よろしくお願いいたします。
(以下、省略)