SAS Institute Japanは3月29日、ストレステストに備える銀行を支援するために、最新版の「SAS Stress Testing」ソリューション・スイートを国内で発売すると発表しました。
最新版のSAS Stress Testingスイートは、「SAS Stress Testing Workbench」、「SAS Risk Modeling Workbench」、「SAS Model Implementation Platform」、「SAS Model Risk Management」という4つのソリューションで構成されており、様々な規制シナリオや経済シナリオに対して対処するための環境構築を支援するものです。
同社はストレステストについて、日本ではまだ欧米のような明確な規制には至っていないものの、金融庁の監督・検査方針に含まれるなどストレステストへの要求は確実に高まってきているとし、ストレステストとシナリオ分析を活用することで、銀行はリスク管理を一時的な対応ではなく、年間を通じた活動として捉えることが可能になるとしています。
また、自行のポートフォリオに対して積極的にストレステストを行うことで、リスクシナリオの範囲に収まるべく対処し、大幅な資本の減少リスクを回避する適切な資産ミックスや流動性を保持することができるとしています。
以下に、SASのニュースリリースを引用します。
SAS、金融機関向けストレステスト・ソリューション「SASR Stress Testing」を国内で発売
~最新版ストレステスト・テクノロジーにより、ストレステストに備える銀行を支援~
SAS Institute Japan
2016年3月29日
アナリティクスのリーディング・カンパニーであるSAS Institute Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:堀田 徹哉、以下 SAS)は、様々なリスクシナリオへの対策を講じる金融機関を支援するため、最新版の「SASR Stress Testing」ソリューション・スイートを国内で発売します。
金融機関は、米国連邦準備制度(FED)や欧州銀行監督機構(EBA)が定期的に実施するストレステストと、マーケットや経営陣からの要求を受けて実施する特定のリスクシナリオに対するストレステストの両方に備えなければなりません。日本ではまだ欧米のような明確な規制には至っていませんが、金融庁の監督・検査方針に含まれるなどストレステストへの要求は確実に高まってきています。ストレステストとシナリオ分析を活用することで、銀行はリスク管理を一時的な対応ではなく、年間を通じた活動として捉えることが可能になります。また、銀行はストレステストの規制遵守に対するプレッシャーだけでなく、マーケットの変動性という課題も常に隣り合わせで抱えています。シリアの紛争、中国経済の不透明性、石油価格の急落などがその例です。自行のポートフォリオに対して積極的にストレステストを行うことで、リスクシナリオの範囲に収まるべく対処し、大幅な資本の減少リスクを回避する適切な資産ミックスや流動性を保持することができます。
SASの最新のストレステスト・ソリューションは、様々な規制シナリオや経済シナリオに対して迅速、かつ効果的に対処するための環境構築を支援します。最新版のSAS Stress Testingスイートは、「SASR Stress Testing Workbench」、「SASR Risk Modeling Workbench」、「SASR Model Implementation Platform」、「SASR Model Risk Management」という包括的かつ補完的な4つのソリューションで構成されています。SAS Stress Testingスイートに含まれている各ソリューションは、既存のストレステスト・プログラムによく見られる欠点をカバーしています。
SAS Institute Japan ソリューションコンサルティング本部 リスクインテリジェンスグループ 部長の柳 洋二郎は次のように述べています。「SASは、ストレステスト・ソリューションに重点的な投資を行い、クリティカルな新機能を単一のプラットフォームに統合しました。これにより、最適な一元化されたストレステスト・プロセスを提供できるようになり、お客様の実装および運用コストを削減することができます。日本ではストレステストはまだ端緒に就いたばかりですが、SAS Stress Testingは今後経営の羅針盤として重要な役割を担い、国内の金融機関にとっても重要な基盤になるものと考えています」
SAS Stress Testingスイートの4つのソリューション:
1) ストレステストの自動化/最適化を実現するSAS Stress Testing Workbench
規制当局はストレステスト・プロセスの要件として組織全体を網羅するものであることを要求しています。全社レベルのガバナンスと管理が適切でない場合、データの収集や計算結果の出力に要した時間と同じだけ、ストレステスト結果の整合性監査に時間を要することになります。
SAS Stress Testing Workbenchは、リスク管理部門、財務部門、経理部門にわたるストレステスト結果の統合を効率的かつ透明性のあるものにします。分析担当者は、Webベースの環境を通して中央ハブからストレステスト・プロセス全体を管理することができます。また分析担当者は、モデルの検討と実行、結果の集計、他のデータソースとの統合、ならびにビジネスや各種規制、会計ルールの財務諸表への適用などを行うことができます。さらにインターフェイスや各種コントロールも監査適合性、透明性、再現性を提供します。
2) 管理されたモデル開発環境を提供するSAS Risk Modeling Workbench
当然のことですが、規制要件、マーケット、ポートフォリオは時と共に変わっていきます。このことは、銀行が継続的に新たなモデルを開発・設計しなければならないことを意味します。そのためには、従来のレガシーなシステムやプロセスにはなかった高い柔軟性と協調性、高度なドキュメント作成機能が不可欠です。金融機関によっては、この複雑なモデルの開発、計測、テストに専門の開発者を1年間従事させることもあるほどです。
SAS Risk Modeling Workbenchは、規制当局の検査に耐えうる健全なモデル開発プロセスの構築を支援します。分析担当者はストレステストに必要なさまざまなリスク・モデルの開発、検証、計測をビジュアル環境内で実行することができます。
3) 効率的なモデル実装を実現するSAS Model Implementation Platform
規制当局が要求するストレステストに対応するため、また実社会におけるマーケットのショックに耐えるため、銀行は多種多様なモデルを常に迅速に変更して実行できなければなりません。そのためには、迅速かつ効率的にモデルを実装できる管理の行き届いた中央集約的な環境を構築することが重要です。
SAS Model Implementation Platformは、モデル計算エンジンと連動したリスク・モデル・インベントリーを提供するとともに、モデルの実行を高速化します。このソリューションには、多種多様なリスク・モデルの迅速かつ効率的な統合を可能にするSAS High‐Performance Riskエンジンが使用されています。これらのモデルは再コーディングの必要なく本番環境で稼動させることができます。
4) モデル開発からモデル実装まで包括的に管理する仕組みを実現する SAS Model Risk Management
市場環境の急激な変化や様々な規制に対応するために金融機関は多くのモデルを活用する必要があり、モデルリスク(モデルの陳腐化リスクなど)が増大しています。複雑な業務や規制当局検査に対応するためには、リスク・カテゴリー全てを特定、監視、管理し、文書化することが要求されます。
SAS Model Risk Managementは、経営幹部や規制当局に迅速かつ正確にリスク・エクスポージャーを報告するために必要なモデルリスクのライフサイクル(モデルの開発、実装、利用および、検証ポリシーなど)を明確かつ適正に管理します。
SASは、英国の調査会社Chartis Researchが発表した「2015年エンタープライズ向けストレステスト・システムに関するRiskTech QuadrantR (2015 RiskTech QuadrantR for Enterprise Stress Testing Systems)」でカテゴリー・リーダーに選出されました。SASは、同分野に不可欠な深い専門知識と技術を持ち合わせ、ユーザー数と売上額の両面において顕著な市場シェアを有している点が高く評価され、リーダー企業に位置づけられました。
(以下、省略)