全国銀行協会(全銀協)は3月16日、昨年8月から開催してきた「ブロックチェーン技術の活用可能性と課題に関する検討会」の報告書を公表した。
この報告書の中で全銀協は、ブロックチェーンの実用化に向けて、連携・協働型の実証実験環境として「ブロックチェーン連携プラットフォーム」(仮称)を来年度中に整備していくことを明らかにした。
このプラットフォームでは、銀行界がIT事業者やFinTechベンチャー等と協働・連携して、ブロックチェーン技術を活用した金融サービス等の開発に向けた試行・実証実験を行うことができるという。
例えば、新たな決済・送金サービスやKYC、金融インフラ(全銀システム、でんさいネットシステム等)などの分野について、ブロックチェーン技術の実用化に向けた検討が期待できるとしている。
現在、個別行レベルでブロックチェーン技術の実証実験が実施されているものの、「分散型台帳」という特性を踏まえれば、銀行間ネットワークを活用する新たなサービスの開発や、非競争的な業務・システムの共通化等への活用は、ブロックチェーンの有望な活用分野とされる。
この新たなプラットフォームにより、日本におけるブロックチェーン技術の実用化が進むことが期待される。
以下に、全国銀行協会のニュースリリースを引用する。
ブロックチェーン技術の活用可能性と課題に関する検討会報告書について
一般社団法人全国銀行協会
2017/3/16
今般、「ブロックチェーン技術の活用可能性と課題に関する検討会」(事務局:一般社団法人全国銀行協会)において、別添のとおり、報告書が取りまとめられました。
ブロックチェーン技術/分散型台帳技術は、今後の銀行業務・システムに大きな変革をもたらす可能性を秘めており、わが国銀行界でも、現在、多くの銀行において、実証実験をはじめとする様々な活用可能性の検証・検討が行われています。一方、銀行のシステムでは、一般に高い安定性、信頼性、正確性が求められることから、同技術の実用化には、技術面のほか、運用面、セキュリティ面や法制度面等、様々な点についてさらなる検討を進めていくことが必要となります。
報告書では、こうした銀行業務におけるブロックチェーン技術の活用可能性と課題を考察するとともに、同技術が銀行業務に変革をもたらす可能性を見据え、官民関係者に期待される取組みとして「ブロックチェーン官民連携イニシアティブ」が取りまとめられています。
なお、このイニシアティブの中で銀行界に対して期待されている事項については、今後、当協会において、詳細の検討を進めていく予定です。
【参考】「ブロックチェーン官民連携イニシアティブ」の概要
1.銀行界における「ブロックチェーン連携プラットフォーム」(仮称)の整備
2.国際的な標準規格への対応戦略
3.金融インフラにおける活用可能性の検討
4.ブロックチェーン技術/DLTの活用に向けた関係当局との連携
5.ブロックチェーン技術/DLTの活用に向けた中央銀行との連携
6.安全対策基準の適用関係に関する整理
7.ブロックチェーン・コミュニティの形成
(以下、省略)