野村総合研究所は6月30日、コールセンターや窓口業務の高度化・効率化を支援する人工知能(AI)型ソリューション「TRAINA/トレイナ」の提供を開始すると発表した。
「TRAINA/トレイナ」は、従来のテキスト解析ソリューションに、AIを使った対話技術を取り入れて開発した。問い合わせの内容を理解し、過去に得た知識をもとに回答候補を提示したり自動で回答したりする。
利用者からのあいまいな質問をシステム側で解釈し、利用者の目的や意図を絞り込むための新たな質問を投げかけるといった自然な対話を繰り返すことにより、利用者のニーズに合致した回答を提供する。
また、マニュアルやFAQなどを統合・最適化し、応対に必要なシナリオ(知識コンテンツ)を自動的に作成するほか、利用者との対話記録が蓄積していくにつれて、自動学習により対話と応答の精度を向上させる。
以下に、野村総合研究所のニュースリリースを引用する。
人工知能を活用し、窓口業務の効率化と高度化を支援するAI型ソリューション「TRAINA/トレイナ」を提供開始
~対話シナリオの自動生成で導入期間・コストも削減~
株式会社野村総合研究所
2016年06月30日
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、コールセンターを含む窓口業務において、問い合わせの内容を的確に理解し、過去に得た知識をもとに、回答候補を提示したり、自動で回答したりする人工知能(AI)型ソリューション「TRAINA/トレイナ」を、2016年7月から提供開始します。
■窓口業務に人工知能を利用する背景と課題
コールセンターを含めた窓口業務においては、従来の対面接客、電話、メールに加えて、SNSやチャットなど新たな顧客との接点が増えてきていると共に、提供する商品やサービスも多様化しています。そのため、顧客満足度の維持・向上のためには、窓口業務で生じる様々なチャネルからの膨大な情報を整理・把握した上で、問い合わせに対して、的確かつタイムリーに回答する高度な対応が求められています。
こういった、高度な窓口業務を行うオペレーターを支援するために、AIを使った対話型システムの導入が検討されています。しかし、対話を成り立たせるための膨大、かつ、複雑な対話シナリオを用意する必要があるため、AIシステムの開発・導入には多大な人手と時間がかかることが課題となっていました。
■AI型ソリューション「TRAINA/トレイナ」の特長
今回開発したAI型ソリューション「TRAINA/トレイナ」は、NRIが長年培ってきた自然言語処理技術(テキストマイニング、セマンティック、全文検索など)を使ったテキスト解析ソリューションTRUE TELLER(トゥルー・テラー)(*1)に、AIを使った対話技術を取り入れて開発したものです。
その特長は以下の二点です。
(1)自然な対話により窓口業務の高度化と効率化を支援
利用者と従来の対話型システムとのやりとりは、原則一問一答型であり、質問があいまいな場合には、システムが的確な回答をすることができない場合が多くありました。
これに対し「TRAINA/トレイナ」は、利用者からのあいまいな質問をシステム側で解釈し、利用者の目的や意図を絞り込むための新たな質問を投げかけるといった、自然な対話を繰り返すことにより、利用者のニーズに的確に合致した回答を提供します。
この追加質問や回答は、既存システムで蓄積した膨大なナレッジから導かれており、オペレーターが「TRAINA/トレイナ」を利用することで窓口業務をより高度化できます。
また、PCやスマートフォンを通じた利用者からの質問に対しては、「TRAINA/トレイナ」が自動回答することで、窓口業務を効率化することも可能となります。
(2)対話シナリオの自動生成によりAIの導入期間とコストを削減
従来の対話型システムでは、利用者の質問を想定しながら、応答に必要な対話シナリオを手作業で細かく作り込む必要がありました。
「TRAINA/トレイナ」は、マニュアルやFAQなどを統合、最適化し、応対に必要なシナリオ(知識コンテンツ)を自動的に作成します。
また、利用者との対話記録が蓄積していくにつれて、自動学習により対話と応答の精度を向上させます。さらに、対話シナリオのベースとなるマニュアルやFAQの分析・評価も行い、内容の修正や不足個所を特定して、対話シナリオのブラッシュアップを促す仕組みも備えています。
この機能により、AIの導入や拡張に要する期間とコストを大幅に削減します。
NRIはこれからも、自然言語処理のノウハウを活用したAIソリューションの提供を通じて、経営課題・業務課題の解決を支援していきます。
*1「TRUE TELLER」について
TRUE TELLERは、NRIのテキスト解析ソリューション群の総称です。
(株)富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2015年版」<2014年度実績、パッケージ市場>において、業界シェアNo.1となりました。また、2014年には、IT(情報技術)分野において世界最高峰とされる、「世界情報サービス産業機構 IT賞」を受賞しています。
(以下、省略)