コールセンターシステムの概要
もともと各金融機関は、営業店チャネル中心で顧客対応(各種事務処理や営業活動)を行っていました。しかしながら、営業店は最も経費が掛かる顧客対応チャネルと言われており、金融ビッグバン後の金融機関の再編統合の中で、営業店自体の統合・削減や、営業店における事務処理や営業活動の見直しが進められました。
このような中、電話やFAXを中心とした顧客対応チャネルであるコールセンター(コンタクトセンター)は、営業店と比較すると安価なチャネルであること、画一的なレベルのサービスが提供できること、営業店窓口等の待ち時間がないこと等のメリットがあることから、各金融機関とも積極的にコールセンターの構築に取り組んできました。
コールセンターが提供するサービスとしては、インバウンド業務とアウトバウンド業務の2種類に大別できます。インバウンド業務は、顧客からの問い合わせ等を電話で受け付けるものであり、各種商品・サービスの問い合わせ・申し込み、テレホンバンキング、盗難・紛失届などがあります。アウトバウンド業務は、コールセンターから顧客に電話発信をするものであり、各種商品・サービスの勧誘、ローン延滞時の督促等があります。
最近では、CRMシステムやEBMシステム等と連動して、顧客の状況を適時に捉えた効率的なマーケティング活動が注目されており、他のチャネルと組み合わせて、対顧客マーケティングのオムニチャネル化が進められています。
また、一部の大手銀行においては、顧客からの多種多様な問合せに対し、迅速かつ的確に回答できるように、人工知能(AI)を活用する取組も見られます。
コールセンターシステムの概要図
コールセンターシステムの機能概要
(1) CTIサーバー
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話とコンピュータシステムを連携させ、より高度な電話対応を実施するためのシステムです。ACD(Automatic Call Distribution)と呼ばれる着信電話の自動分配機能や、IVR(Interactive Voice Response)と呼ばれる音声自動応答機能、キューイング(待ち行列)機能など、コールセンターに不可欠な機能を提供します。
最近では、これらのCTIサーバー等をクラウド(SaaS)として提供するサービスも登場しています。
(2) コールセンターサーバ
実際のインバウンド業務やアウトバウンド業務を支援するためのシステムです。顧客情報の管理や、顧客からの様々な問合せに対する回答を検索するためのナレッジ検索機能、アウトバウンド業務時のトークスクリプト表示機能等を有しています。
製品・サービス一覧
コールセンターシステムの製品・サービス一覧は、以下のページを参照ください。
参考文献
参考文献一覧
参考文献一覧
- 金融情報システムセンター(2015)『金融情報システム白書〈平成27年版〉』財経詳報社 417pp
- 土屋清美(2013)『ITエンジニアのための金融知識』日経BP社 232pp
- 山本統一(2010)『SEが基礎から学ぶ金融システムの教科書』日本実業出版社 328pp
- 小泉保彦(2010)『SEのための金融入門―銀行業務の仕組みとリスク』金融財政事情研究会 300pp
- 克元亮(2004)『SEのための金融の基礎知識』日本能率協会マネジメントセンター 341pp
- 信金東京共同事務センター事業組合Eビジネス推進課 課長 山彰彦(2005)「〔第3回第1部〕共同コールセンターについて」『金融情報システム』No.278(平成17年夏号) pp.272-277. 金融情報システムセンター
- 研究会事務局(2005)「地域金融機関IT研究会報告書「リテール戦略におけるコンタクトセンター」」『金融情報システム』No.280(平成17年秋号) pp.5-61. 金融情報システムセンター
- 日立製作所「コールセンターシステム「BusiActiv/TB」」<http://www.hitachi.co.jp/products/it/finance/solutions/application/information/crm/busiactiv_tb/index.html>(2015/10/31 アクセス)
- 電通国際情報サービス「BANK・R コンタクトセンター」<http://www.isid.co.jp/solution/finance/contact.html>(2015/10/31 アクセス)
- インテック「F3(エフキューブ) コンタクトセンターソリューション」<http://www.intec.co.jp/service/detail/f3_cti/>(2015/10/31 アクセス)