概要
インフラ面では、既存の中央集権型取引ネットワークを介さないP2P送金ネットワーク、銀行取引等においてパスワードに依存しない認証を提供するサービス、ビッグデータ技術を使って融資判断や投資判断を提供するサービスなどが出現しています。
米国等における具体的な動向
(1) 非中央集権型取引ネットワーク
既存の中央集権型取引ネットワークを介さないP2P送金ネットワークや、仮想通貨プロトコル(ブロックチェーンやRippleなど)を使用したネットワークが構築されつつあります。(詳細は「P2P送金」や「ブロックチェーン」の頁を参照)
(2) セキュリティ
銀行取引等におけるパスワードの代替として、複数サービスに跨った統合的な認証機能を提供するサービスのほか、高度化なバイオメトリクス認証サービスなど、様々な認証サービスが登場しています。
(3) ビッグデータ分析
ビッグデータ分析技術(人工知能、コグニティヴ含む)をキー技術として、銀行等の金融機関に対して、融資判断や投資判断をサポートするサービスを提供する企業等が出現しています。
(4) 金融情報サービス
複数金融機関の金融商品を1つのWEBサイトで検索・比較・購入できるようにしたアグリゲーターが普及しているほか、投資情報や経済情報等を新しい観点から提供する企業が出現しています。
今後想定される影響
これまで金融機関は、信頼性や可用性を重視して、クローズな世界でインフラを構築してきましたが、これらの技術やサービスを積極的に活用して自社インフラを高度化していくなど、インフラ面でもオープンイノベーションへの取組みが進みつつあります。
また、これらの新しいテクノロジーの活用能力が、新規サービスの創出や新規顧客の開拓、コスト削減といった観点で、金融機関の競争力を決定する大きな要因になる可能性があります。
既存金融機関への示唆
今後とも、金融機関のインフラを変革していく技術やサービスが実用化されていくことが想定されます。各金融機関とも、これらの動向をウォッチしつつ、FinTech企業等の連携や自社独自のイノベーションを活用しながら、自社インフラを高度化していくことが求められます。