みずほフィナンシャルグループは6月22日、日本IBMと共同でブロックチェーンの活用に向けた技術検証を開始すると発表した。
具体的には、Linux Foundationが推進する「ハイパーレジャー(Hyperledger)」と日本IBMが開発した「オープンブロックチェーン(Open Blockchain)」を用いて、決済業務におけるブロックチェーンの適用可能性や仮想通貨の実現性について評価を行う。
検証作業は、日本IBMが提供するアプリケーションの短期開発支援サービス「IBM Garage」を活用する。
ブロックチェーン技術は、低コストで効率的な決済を実現できる可能性があることから、金融機関のみならず、数多くの企業で実証実験が行われている。
特に銀行が仮想通貨を取り扱うことについては、先日、三菱UFJフィナンシャルグループが独自仮想通貨「MUFGコイン」を来秋にも一般公開するとの報道があったばかり。
今後、大手銀行間での仮想通貨・ブロックチェーン技術の実用化に向けた開発競争が激化しそうだ。
以下に、みずほフィナンシャルグループのニュースリリースを引用する。
ブロックチェーンの活用に向けた技術検証開始について
株式会社みずほフィナンシャルグループ
日本アイ・ビー・エム株式会社
2016年06月22日
株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役社長:佐藤 康博)と日本アイ・ビー・エム株式会社(社長:ポール与那嶺、以下「日本 IBM」)は、本日、ブロックチェーン(※1)の活用に向けた技術検証を開始することに合意しました。具体的には、本年6月よりIT技術の標準化を推進するオープンソース(※2)・コミュニティのLinux Foundation(※3)が提唱する「ハイパーレジャー(Hyperledger、※4)」と「オープンブロックチェーン(Open Blockchain、※5)」を用いて、決済業務の領域において仮想通貨等の検証作業を開始します。
ブロックチェーンはより多くの取引参加者に対し、低コストで効率的な取引の仕組みを実現できる可能性があり、多くの実証実験が行われるなど、金融業界のみならず幅広い業態で高い関心を集めています。本件技術検証において、<みずほ>は、日本IBMが提供する先進的なアプリケーションの短期開発支援サービス「IBM Garage(※6)」を通じ、決済業務におけるブロックチェーンの適用可能性および仮想通貨の実現性について評価等を実施します。日本IBMは、国内外の各業界に対する取り組みで培った知見と、<みずほ>でのシステム構築の経験を踏まえ、ブロックチェーンによる業務アプリケーションの設計と構築等、先進的なアプリケーションの開発スタイルの変革に向けた基準作りを支援します。
<みずほ>は、いち早く、内外の環境変化に対応して、最先端の技術応用により新たな顧客体験やビジネス価値を生み出すプロジェクトを推進してきました。今後、本技術検証を通じてブロックチェーン技術や仮想通貨に関する研究を進め、より利便性の高いサービスの提供や、技術の飛躍的進化にもスピーディーに対応する新しい金融サービス創造を推進していきます。
日本IBMは、Linux Foundationの「ハイパーレジャー・プロジェクト」に参画し、ブロックチェーン技術の実用に向けた取り組みを推進しています。本取り組みでは、アプリケーションの開発者が高いセキュリティーを保ちながら、分散台帳を容易に構築できる技術を提供していきます。
以上
<用語説明>
- ※1:分散型台帳技術。取引記録や資産登録簿などのデータを分散型ネットワーク上の参加者にて安全に共有し管理する技術であり、低コストでの構築運用が可能と考えられている。
- ※2:オープンソースは、ソースコードと呼ばれるコンピューターのプログラムを利用条件や制約を規定して公開し、利用許諾に範囲で誰でも無償で使用、改変、再配布、組み込みなどを行なうことができるソフトウェアのこと。
- ※3:2007年設立。Linuxの標準化、開発支援、普及を推進する非営利団体。
- ※4:取引の記録と検証を行うためのブロックチェーン技術を推進するオープンソース・プロジェクト。
- ※5:IBMがオープンソースを活用して開発したブロックチェーン技術。
- ※6:ユーザー視点で設計するモバイルやアナリティクスなどの先進的なアプリケーションの短期開発を大規模な企業からスタートアップまで幅広く支援するIBMの施設およびサービス。
(以下、省略)
(参照)みずほフィナンシャルグループのニュースリリース
http://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20160622release_jp.pdf