損害保険

概要

車載搭載センサーを用いて運転情報を収集し保険料を決定するテレマティクス保険が、欧米の各国で普及しつつあります。また、自動運転車や家庭用センサーの研究が行われており、今後、損害保険のあり方を変えてしまう可能性も指摘されています。

米国等における具体的な動向

(1) オンラインアグリゲーター

*生命保険の項を参照。

(2) テレマティクス保険(IoT連動型保険)

車載搭載センサーを用いて運転情報を収集し保険料を決定するテレマティクス保険が、欧米を中心に急拡大しています。また、様々な保険対象物にIoTセンサーを取り付けてリスクを早期に検知する取組みや、収集したデータを保険料率の決定に活用する取組みが始まっています。

(3) ロボットカー(自動運転車)

人間による運転ではなく自動で走行できるロボットカーの研究・開発が進められており、各自動車メーカーは2020年代の実用化を目指していると言われています。ロボットカーが実用化された場合、事故発生率の低下や契約主体の変更など、自動車保険に様々な影響を及ぼすことが指摘されています。
 

今後想定される影響

*オンラインアグリゲーターによる影響は、生命保険の項を参照。

テレマティクス保険については、2015年時点でイタリアやイギリスでは、契約件数ですでに5%を超えており、アメリカでも近々5%を突破すると言われています。また、テレマティクス保険用のプラットフォームを提供するサービスも普及していることから、更なる業者が参入してくることにより、自動車保険料の低廉化に繋がる可能性があります。(2015年時点で、アメリカでは、すでに20社以上がテレマティクス保険を提供中。)

また、自動車保険以外の保険についてもIoT連動型保険が実用化されることにより、より正確な保険料が算出できる可能性や、収集データを用いた新たなサービスが登場する可能性があります。(リスクコンサルティングサービスなど)

このほか、ロボットカーについては、自動車保険のあり方を根本的に変えてしまう可能性があり、仮に完全なロボットカーが実用化された場合には、自動車保険が主力商品である損害保険業界に大きなインパクトを及ぼす可能性があります。

既存金融機関への示唆

2016年時点で、日本においても複数の保険会社からテレマティクス保険の販売が開始されており、今後、普及していく可能性があります。

損害保険会社は、テレマティクス保険、IoT連動型保険、ロボットカーなどの動向を注視し、自社ビジネスへの影響を分析した上で、自社の戦略に反映させていく必要があります。

例えば、これらの技術を積極的に活用して他社に先駆けて新しい保険商品や低廉な保険料を実現していく戦略や、より付加価値の高い保険にシフトしていく戦略、IoT等から収集したデータを活用した新たなサービス提供(IoTデータ基盤サービス、リスクコンサルタントサービス、リアルタイムな保険商品の提案など)を進める戦略などが考えられます。