概要
オンライン上で保険内容の比較やダイレクト販売を行うオンラインアグリゲーターが普及しているほか、ウェアラブル端末に搭載されたセンサー情報を生命保険に活用するサービスが出現しつつあります。
米国等における具体的な動向
(1) オンラインアグリゲーター
(2) ウェアラブル端末連動保険
今後想定される影響
オンラインアグリゲーターの普及により、利用者側は保険選択の幅が広がり、より自分にマッチした低廉な保険を選択できるメリットがあります。一方、保険会社側にとっては、保険料の低価格化、均質化を招くリスクのほか、保険関連業務のアンバンドリング化がさらに進む可能性があります。
ウェアラブル端末連動保険については、利用者側は、健康的な生活している人ほど、より低廉な保険料を享受できる可能性があります。一方、個人情報や健康情報の漏洩リスクが発生するほか、健康でない人にとっては、保険料が高くなる可能性があります。
保険会社側にとっては、様々な生活データ・健康データを収集することにより、正確なリスク量の測定やリスクのリアルタイムな把握を実現できる可能性があります。一方、ビッグデータ技術を有するFinTech企業が生命保険領域に進出し、既存の保険契約を奪い取ってしまうリスクもあります。
既存金融機関への示唆
2016年現在、日本においても、ネット型生保や来店型保険ショップ、保険比較サイト等が普及しており、今後とも保険業界におけるアンバンドリング化やオンライン化が進むことが想定されます。これにより、保険料の低価格化、均質化の流れがさらに進む可能性があります。
また、日本においても、ウェアラブル端末連動型保険への取り組みはすでに始まっており、近い将来、ウェアラブル端末連動型保険が実用化される可能性があります。
生命保険会社は、これらの技術・サービスの動向を注視し、自社ビジネスへの影響を分析した上で、自社の戦略に反映させていく必要があります。例えば、FinTech企業等と連携して他社に先駆けてウェアラブル端末連動型保険等を開発していく戦略、ニッチ市場向けの保険や高付加価値保険に注力する戦略、データ活用プラットフォーム構築を行いインフラ獲得を進める戦略、ウェアラブル端末から収集したデータを活用した新たなサービス提供(健康サービスの提供、リアルタイムな保険商品の提案など)を進める戦略、などが考えられます。