概要
ビッグデータ技術を活用し個人向けの資産運用支援やポートフォリオ管理を自動で行うロボアドバイザー、またオンライン上でファイナンシャルプラン立案を支援するオンラインFP、ソーシャルサービスと連携した資産運用サービスなどが出現しています。
米国等における具体的な動向
(1) ロボアドバイザー
投資信託等の投資管理やポートフォリオ管理、自動リバランス機能など、これまで主に富裕層向けに提供されていたサービスを、オンライン上で簡易かつ安価に提供するロボアドバイザーサービスが普及しつつあります。
(2) ソーシャル連携サービス
ソーシャルサービスと連携して、投資支援や投資家同士のコミュニケーションを支援するサービスが登場しています。
(3) オンラインFP
オンライン上でファイナンシャルプラン構築支援を行うサービスや、ファイナンシャルプランナーを紹介するサービスが普及しつつあります。
今後想定される影響
これらの技術・サービスにより、利用者側は、投資信託手数料の低廉化や、投資管理の容易化、投資信託などの投資商品の選択肢拡大などのメリットを享受することができます。
既存金融機関は、これらの技術・サービスを活用することにより、自社の投資信託サービスやアドバイザリーサービスを向上させ、新たな顧客層を開拓できる可能性があります。一方で、これらのFinTech企業に投資信託やアドバイザリー業務の一部を奪われてしまうリスクや、投資信託手数料の低廉化による収益減に繋がるリスクがあります。
既存金融機関への示唆
2016年現在、日本においても複数のロボアドバイザーサービスが提供され始めています。一方、2016年の金融庁モニタリングレポートにおいて、日本の投資信託販売手数料率が年々上昇傾向を示していることなど、手数料に不満を持つ顧客が多いことが記載されています。このため、ロボアドバイザーサービスが今後、日本において一定の支持を得る可能性があります。
こうしたことから、既存金融機関は、ロボアドバイザーサービスやオンラインFP等の動向を注視し、自機関への影響を分析した上で、投資信託戦略に反映していくことが求められます。例えば、これらのサービスと連携して、自社サービスの高度化や顧客囲い込みに活用していく戦略のほか、自ら同様のサービスを開発して自社サービスの向上や手数料低減に活用していく戦略、より付加価値の高い層向けのサービス提供に注力する戦略などが考えられます。