概要
資金ニーズを有する個人・事業者と投資家を直接結びつけるマーケットプレイス融資や、オンライン上で直接資金調達を行うクラウドファンディング(スタートアップ型、プロジェクト型、ソーシャル型など)、取引データを使って迅速に与信判断を行うビッグデータ融資が出現しています。これらの新たな融資・資金調達の形態を総括して「オルタネイティブ融資」と呼ぶ場合もあります。
米国等における具体的な動向
(1) マーケットプレイス融資
(2) クラウドファンディング
(3) ビッグデータレンディング
(4) クレジットスコア
今後想定される影響
銀行等の既存金融機関からの資金調達が難しかった企業や個人だけでなく、これまで銀行から融資を受けていた層にとっても、資金調達手段が広がりつつあります。また、ビッグデータレンディングも、オンラインショップを中心に重要な資金調達手段になりつつあります。
一方、既存金融機関にとっては、中小企業や個人に対する融資機会が奪われてしまうリスクがあります。また、このようなFinTech企業が、PFMサービス企業やクラウド型会計サービス企業と連携した上で、中小企業や個人に対するビッグデータレンディングを強化していく可能性も指摘されています。
既存金融機関への示唆
2016年時点で日本においては歴史的な低金利が続いていることや各金融機関の融資姿勢が積極的なこともあり、マーケットプレイス融資やクラウドファンディングは、欧米ほど普及しているとは言えない状況です。しかしながら、日本でも様々なFinTechの融資サービスが登場し始めており、今後の経済情勢や既存金融機関の融資姿勢によっては、普及していく可能性があります。
このため、既存金融機関は、これらのサービスが自行の融資ビジネスにどのような影響を与えうるのか分析した上で、自行の戦略に反映させていくことが求められます。
例えば、これらのサービスと連携して新たな融資機会を追求していく戦略のほか、より付加価値の高い融資サービス(スタートアップ企業への事業性評価融資、事業継承支援融資、ABL、サプライチェーンファイナンス等)へ注力していく戦略、ビッグデータレンディングと同様の融資サービスを開始する戦略、あるいはコンサルティング能力の発揮や安心感への訴求などの差別化戦略が考えられます。