凸版印刷とTISは3月6日、スマートフォンでATMを操作できる、金融機関向けのモバイルWalletサービスの提供を開始したと発表した。
このモバイルWalletサービスは、キャッシュカード情報をスマートフォンに格納し、タッチするだけでATM手続きを行えるクラウドサービス。
具体的には、取引内容をスマートフォン上で予め入力し、対応のATMでそのスマートフォンをかざすだけで、複雑なボタン操作を省略できるようになるという。
また、カード番号などの個人情報は、スマートフォンにそのまま格納せず、トークンと呼ばれるダミー番号や暗号化技術を利用するなど、セキュリティ面にも配慮している。
凸版印刷が、Walletアプリを開発し、TISがキャッシュカード情報を顧客のスマートフォンに安全に格納する技術を開発した。
両社は、2020年までに40社への導入を目指すという。
以下に、凸版印刷のニュースリリースを引用する。
凸版印刷とTIS、スマホでATM操作を短縮
操作内容をスマホで事前入力し、煩雑なボタン操作の省略を実現するモバイルWalletサービスの共同での提供を開始
凸版印刷株式会社
TIS株式会社
2017/3/6
凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)とTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:桑野徹、以下TIS)は共同で、モバイルキャッシュの利用を可能にする金融機関向けモバイルWalletサービスの提供を2017年3月6日より開始します。
両社で共同提供するモバイルWalletサービスは、従来のキャッシュカード機能をスマートフォンに格納することでカードレス化し、将来的にはタッチするだけでATM手続きが短縮できる機能に対応したクラウドサービスです。具体的には、取引内容をスマートフォン上で予め入力し、対応のATMでそのスマートフォンをかざすだけで、煩雑なボタン操作を省略できるようになるため、顧客満足度の向上が期待できます。
また本サービスは、スマートフォン上での情報管理セキュリティ向上のため、カード番号などの個人情報をスマートフォン上でダミー番号(トークン)に置き換えて利用するトークナイゼーション技術を採用。キャッシュカード番号はセキュリティ性の高いクラウドサーバで管理するため、安全な利用が可能です。
本サービスの提供においては、凸版印刷はスマートフォンにダウンロードするWalletアプリの提供、TISがキャッシュサービスを提供するためのキャッシュカード情報を顧客のスマートフォンに安全に格納する技術を提供します。
凸版印刷とTISは、「モバイルWalletサービス」を拡販、2020年までに40社への導入を目指します。また、両社は今後、本サービスの開発を進め、デビット機能やクレジット機能も追加していく予定です。
なお本サービスは、2017年3月7日(火)から10日(金)まで開催される「リテールテック2017」(会場:東京ビッグサイト)の日本ICカードシステム利用促進協議会(JICSAP)ブースで紹介します。
背景
近年、金融分野において新しいテクノロジーを活用した「Fintech」を用いたサービスが続々と誕生し、生活者の消費行動にも変化が生じています。また国内はもちろん、近年増加する訪日外国人による、NFCスマートフォンを用いた利用ニーズが拡大すると予測されています。
凸版印刷は従来、ICカードの製造・発行はもちろん、高セキュリティなICデータ生成や鍵管理、アクセスコード生成、スマートフォンへの安全な個人データ配信などの金融系関連サービスを開発・提供しています。
TISは、40年以上にわたり、カード会社の基幹系システム開発での豊富な経験と先進的な技術を保有し、そのノウハウを活用したさまざまなサービスを提供しています。
今回、両社の技術を融合することで、新しいスマートフォン向けクラウドサービスとしてモバイルWalletサービスを開発・提供します。米国の金融機関などでは、スマートフォン対応ATMでのモバイルキャッシュサービスが広く商用サービスとして行われており、今後日本でもその普及が予想されるため、ATM手続きが短縮できる機能などを搭載し、展開していきます。
本サービスの特長
• ATMの操作時間を短縮
入出金などATM処理が必要なキャッシュサービスに関し、その操作をスマートフォンアプリで事前に行うことが可能です。このスマートフォンを、スマートフォンに対応したATMにかざすだけで操作内容が連携され、手続き処理をすぐに開始できるため、ATM操作時間を短縮でき、顧客満足度の向上が期待できます。
• キャッシュカードレスを実現
従来のキャッシュカード機能をスマートフォンに格納できるため、利便性が向上します。
• 高度なセキュリティ
カード番号などの個人情報をスマートフォンのAndroidアプリにそのまま格納せず、トークンと呼ばれるダミー番号や高度な暗号化利用することにより、スマートフォンのセキュリティエリアを必要としないHCE(Host Card Emulation)機能に標準対応。元の個人情報とトークンは、高セキュリティなクラウドサーバで管理します。これにより、万が一Androidアプリからトークンが漏えいしても、元の個人情報を類推することが不可能なため、安全な運用が可能になります。
• MVNOスマホにも対応
国内の携帯キャリア事業者はもちろん、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)事業者が販売するNFC※対応Androidスマートフォン(*)にも対応しています。(*AndroidOSバージョン5.0以上)
※NFC:Near field communication(近距離無線通信)
• クラウドサーバはグローバルセキュリティ基準、PCIDSSに準拠
個人情報を管理するクラウドサーバは、PCIデータセキュリティスタンダード(PCI DSS:Payment Card Industry Data Security Standard)に準拠。高セキュリティなデータ管理が可能です。
(以下、省略)