大日本印刷(DNP)は7月14日、オランダのジェムアルト社と協業し、スマートフォンの生体認証機能を活用したオンライン認証クラウドサービスを、2016年12月より開始すると発表した。
このサービスは、スマートフォンやウェアラブル端末に搭載された生体認証機能を活用した認証サービス。例えば、パソコンでインターネットバンキングの取引を登録する際に、スマートフォンの顔認証アプリで本人認証を行うなどの「二経路認証」を実現できる。
クラウドサービスであるため、企業は新たにシステム開発などを行う負荷が軽減できるほか、専用の読取り機やトークンなどの設備費や利用者への配布が不要となる。
サービス開始当初は、指紋と顔画像による本人認証に対応し、その後は、新しい生体認証方式への対応も図っていくとしている。
同社では、銀行やクレジットカード会社、決済代行会社などを中心にサービスを提供し、2019年度までの4年間で約20億円の売上を見込んでいる。
以下に、大日本印刷のニュースリリースを引用する。
大日本印刷とジェムアルト スマートフォンを活用した生体認証クラウドサービスを開始
大日本印刷株式会社
2016年07月14日
大日本印刷株式会社(以下:DNP)は、オランダのGemalto N.V.(以下:ジェムアルト)と協業し、スマートフォンの生体認証機能を活用したオンライン認証サービスを開発し、2016年12月よりクラウドサービスとして提供します。
【サービス開発の背景】
生活者がインターネットサービスを利用する場合、特定のログイン用パスワードを複数のサービスで共用することが一般的です。そのため、ひとつのサービスからパスワードが流出すると、悪意を持った第三者がそのパスワードで他のサービスに「なりすまし」でログインし、ポイントの換金やクレジットカードの利用などを不正に行う恐れがあります。その対策として一部のインターネットバンキングは、毎回異なるパスワードで認証を行う“ワンタイムパスワードトークン”を配布していますが、導入コストなどが課題となり、広く普及していない状況です。
DNPは、クレジットカードやキャッシュカードなどの高セキュリティなICカードの開発を通じて培ったノウハウを活かし、オンラインショッピングのクレジットカード決済向けに、2008年より3-Dセキュア(*1)に準拠した本人認証サービスを提供しています。また、2015年10月には、オンライン認証の新たな標準化に取り組むFIDO Allianceに加入し、FIDO(*2)仕様に準拠した本人認証サービスの開発に着手しました。今回、これらの取組みを一歩進め、デジタルセキュリティ分野の世界的なリーダーであるジェムアルトと協業し、海外のインターネットバンキングなどで実績がある同社のモバイル認証ソリューション「Ezio Mobile Suite」と、DNPの技術・ノウハウを組み合わせ、スマートフォンの生体認証機能を活用した本人認証サービスを開発しました。
【生体認証クラウドサービスの概要】
・スマートフォンやウェアラブル端末に搭載された生体認証機能を活用した、直観的でわかりやすい認証サービスです。生活者は複数のパスワードを管理する必要がありません。
・サービス開始当初は、指紋と顔画像による本人認証に対応します。今後、新しい生体認証方式への対応も図ります。
・利用する企業は、クラウドサービスとして、DNPが提供する本人認証の基本機能を組み合わせて利用できるため、新たにシステム開発などを行う負荷が軽減できます。
・生活者のスマートフォンが有する生体認証技術の活用により、利便性とセキュリティ性の高い認証を実現します。企業は専用の読取り機やトークンなどの設備費が不要です。
・セキュリティのレベルに応じて、この生体認証を従来のパスワードやICカードなど、他の認証方式と組み合わせるなど、安全性と利便性に配慮した認証サービスの設計の提案も可能です。
・クラウドサービスの運用は、高いセキュリティ性を備え、耐震性と環境負荷低減に対応した「DNP柏データセンター」で行います。
【今後の展開】
DNPは、銀行やクレジットカード会社、決済代行会社、流通企業や通販事業者、会員サイト運営企業などを中心に本サービスを提供し、2019年度までの4年間で約20億円の売上を見込んでいます。
*1 3-Dセキュア:Visaが開発したインターネット上のカード決済における本人認証技術
*2 FIDO:生体認証等を利用し、パスワードによらない、強固なセキュリティと生活者の使いやすさを両立させる新しいオンライン認証の技術仕様
(以下、省略)