富士通は6月29日、国際協力機構(JICA)との契約に基づき、ミャンマー中央銀行向けに国際会計基準(IFRS)に適合した会計システムを構築したと発表した。
このシステムでは、仕訳入力のシステム化や、各種帳票や勘定仕訳の自動生成機能により、従来手作業で行っていた会計業務の効率化を実現した。繁忙期には翌日までかかっていた伝票入力が当日中に完了できるようになったという。
2012年に大和総研などがミャンマー中央銀行に導入したクラウド基盤を拡張し、米オラクル社の統合ERPパッケージ「E-Business Suite」を活用してアプリケーション環境を構築した。
以下に、富士通のニュースリリースを引用する。
ミャンマー中央銀行様向けに国際会計基準に適合した会計システムを構築
ミャンマー連邦共和国の金融システム近代化に貢献
富士通株式会社
2016年06月29日
当社は、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)との間で締結された業務実施契約に基づき、ミャンマー連邦共和国(以下、ミャンマー)のミャンマー中央銀行様向けに、国際会計基準(以下、IFRS)に適合した会計システムを構築し、2016年4月に稼働を開始しました。
本システムは、仕訳入力のシステム化や、各種帳票や勘定仕訳の自動生成機能により、従来手作業で行っていた会計業務の効率化を実現しています。これにより、繁忙期には翌日までかかっていた伝票入力が当日中に完了できるようになるなど、行員の負担が大幅に軽減されました。また、会計ポリシーおよび勘定科目・プロセスを見直すことで、IFRSに準拠した会計業務を整備するとともに、シンクライアントOA環境の活用やシステムの冗長化、運用監視の仕組みなどを導入することで、会計システムの堅確性・信頼性も向上しました。
当社は、ミャンマーをはじめ、成長するアジア各国の金融システム近代化に向けて今後も貢献してまいります。
■背景
ミャンマー政府は、経済分野の開発目標として市場経済化や投資促進を掲げ、金融制度の整備や証券取引市場の開設など、金融セクターの近代化に向けた準備を急ピッチで進めています。
また、ミャンマーは、急激な経済成長に伴う同国内企業の資金需要の増加、諸外国からの投資の活発化および個人の銀行利用の普及拡大により、ミャンマー中央銀行様をはじめとする金融機関で取り扱う資金およびデータの急増が見込まれています。
このため、同国の中央銀行であるミャンマー中央銀行様の会計システムをIFRSに準拠したシステムに変更し、中央銀行業務の円滑な推進、維持管理のための環境を整備することが、同国金融セクター近代化に向けての喫緊の課題となっていました。
■システムの概要
本会計システムの構築にあたっては、2012年に株式会社大和総研が主導し、当社も協力してミャンマー中央銀行様に導入したクラウド基盤を拡張し、当該基盤上に米オラクル社の統合ERPパッケージ「Oracle(R) E-Business Suite」を活用したアプリケーション環境を構築することで、ミャンマー中央銀行様の既存資産の有効活用を図っています。要件定義においては、金融会計業務ノウハウを持ったコンサルタントが参画し、JICA、ミャンマー中央銀行様および国際通貨基金(IMF)と連携して勘定科目を検討することで、実業務に適合した機能設計を実現しました。
また、現地システムベンダーであるACE Data System社と協業し、現地語(ミャンマー語)によるシステム機能の説明・トレーニングの実施を行い、会計システムのエンドユーザ理解を促進する体制を整備しています。
■今後の展開
当社のグローバル戦略において、アジアビジネスの拡大は重要なテーマとなっています。2015年10月より「One Asia」体制として、アジア各拠点と、様々な業種ノウハウや強いデリバリー能力をもつ日本の営業体制を一体化し、ソリューションビジネス推進の基盤の確立を図るとともに、アジア各国の金融、通信、政府公共、製造、流通、医療等の業種ごとにきめ細かな戦略を策定し、推進しています。
ミャンマーにおいては、今回稼働する会計システムの民間銀行への展開を図り、それを支える保守体制などの整備も進め、ミャンマーにおける金融システムの一層の近代化に貢献してまいります。
(以下、省略)